究極のダイエット
昨年の健康診断で医者から中性脂肪が多いだの、尿酸値が高いだのと言われた。余計なお世話だとは思うのだが、正直なところかなり気になる。昔のようには運動もしていないし、当然の結果かもしれないと実は反省している。
問題は、今年も同様の状態には絶対にならない。医者からはもう少し痩せたほうがいいと宣言された。こうなったら、バッチリ痩せて医者の背中を叩いてやりたい。「ほらね」なんてほざきながら。
そこで、初めに手がけたのが「アミノ酸ダイエット」である。なんのことはない。ポカリスエットみたいな味の飲料を一日一本飲むだけである。誰でもできるし、大してお金はかからない。これは主に午後に実行した。暑くなってくればちっとも苦にならない。本当はスポーツの前後に飲用すれば一番効果があるということだが、なにしろ時間がない。
次は、「生姜紅茶」という方法だ。紅茶にひね生姜をすりおろしたやつを入れる。好みで黒砂糖を入れると飲みやすい。生姜は体温を上昇させ、基礎代謝を高めると本に書いてあった。寿司屋なんかに行ったら、何度もガリをお代わりするので、変な顔をされたりする。新生姜の季節になると味噌漬けや、酢漬けを自分でつくる。しかも、職員にも食べさせたりしているので、評判が悪いかもしれない。でも痩せるためならと生姜の効能にも相当な期待を込めている。
そうして最後は、「にがりダイエット」だ。海水から食塩を精製した後に残った究極の成分で、豆乳を固めて豆腐をつくる素材としても知られている。有効成分はマグネシウムであり、もともと日本人には不足しがちなミネラルでもある。マグネシウムを日常的に摂取すると脂肪がつきにくい体質に変化するという。難しい理論はともかく、効果がありそうならなんでも試す。食材に直接振り掛けるのが一番いいというので、これも店の人にどんな顔をされてもめげずに実行している。もちろん豆乳に入れて豆腐もつくったりするところが、いいかげんな私の性格の一面である。
そうこうして3か月ほどが経過した。しかも、早朝ジョギングなども敢行して、いざ体重測定である。体重計にはつま先だけで乗ってみたり、斜めに乗ってみたりしたのだが、どうもおかしい。片足だけでも試してみた。壊れているかもしれない。電池も入れ替えてみた。なのに・・・・・変だ!絶対変だ!・・・体重が3キロも増加しているのだ。人生最大新記録となってしまった。そんなバカな。じゃあ、あの努力はなんだったのだ。
大好物なのにがまんしていた「とんかつ」を三日連続食ってやった。もう騙されるもんか。ダイエットは運動を伴わなければならいことを痛切に感じた。
そう言えば、ハゲに絶対効くという育毛剤のときも同じようなことを経験している。一万円もするシャンプーのときは、逆に急に薄くなってきたとみんなに言われ、ひどく腹がたった。
ああ皆さん、デブは多少本人に責任があっても、ハゲだけは許してやってください。
その上、私はチビなのだ。三拍子そろってしまった。私だってキムタクみたいな風貌に生まれたかったのに。
私の事務所では講演の多い私が外出するときに、みんなが声をかけてくれる。「いってらっしゃい。ハゲながら応援しています。」