おじいさん

は高齢者ではあります。来年は後期高齢者だし、れっきとした”老人”なのだろうと思います。

かしながらまだ仕事は継続しているし、毎日会社に来ているし、他人には老人扱いされたくないのです。このところちょっと物忘れをすることが増えたけど、まだまだ人の役に立っていると自負しているのです。

車では優先席を避けています。あれはもっと高齢の方や体の不自由な方や妊娠している女性などが優先されるべき席であり、私ごとき普通の者が大手を振って行くべき席ではないのです。

日も一般席でつり革につかまり、なにげなく窓の外を眺めていたら突然前に座っていた若い女性が立ち上がり「どうぞ」と手招きするのです。「えっ」・・・・「なんのために」「ここは一般席だし」「私、疲れている風にした覚えはないし」「第一そんな席を譲られるほどの高齢者ではない」と数秒間の中でいろいろな言葉が頭の中をぐるぐると駆け巡るのですが、体はこれとはうらはらにさっさと席に着いてしまうのです。「ありがとうございます」と小さく口にも出していました。

来はうれしいはずの出来事なのですが、かなり複雑な心境になりまして、向かいの窓に映る自分の顔をじっと見詰めていました。そこには確実に誰が見ても間違いなくおじいさんが映っていました。