特に時間外割増賃金の支給を考慮しなくともよい者とは、どんな者でしょう。年俸契約者には時間外割増賃金の支給は必要ありませんか。
時間外割増賃金は、法定労働時間を超えて労働させたときに支給しなければなりませんが以下の場合には、例外となります。
1.管理監督者
経営者と一体となって、管理監督の立場で業務を遂行する者は、本来自らが労働時間を決定しうる者として、時間外手当、休日出勤手当の対象から除外してもいいことになります。 (管理監督者は全労働者の4分の1未満であることが目安です。)
2.裁量労働者
*デザイナー、コンピュータSE、ディレクター、記事の取材などの業務を専門型裁量労働者といい、労使協定を締結することにより、時間管理から除外できます。この場合でも目安となる労働時間の把握は必要です。
*ア.事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務または イ.業務遂行の方法、時間配分などについて労働者に具体的な指示をしない業務については、企画型裁量労働者といい、労使協定の届け出のほか、委員会報告など一定の届け出をすることにより時間管理から除外できます。
3.事業場外労働者
就業の場所がもっぱら事業場外であったり、始業・終業の時刻が事業場外であるために、正確な労働時間が判定しがたいときは、事業場外労働者として、通常の労働時間労働したものとみなすことができます。通常の時間では収まらないと判定されるときは、みなし労働時間に時間外労働時間を組み込むことも可能です。
*年俸制であっても、みなし時間外労働を組み込むなどの措置が必要であり、時間外割増賃金の適用から除外することはできません。
*フレックスタイムなどでも、時間管理は必要となります。
4.高度プロフェッショナル制度適用者
高度の専門的知識(ファンド開発業務、ファンドマネージャー業務、新技術・商品等の研究業務等)を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件(1,075万円)を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や、事業場内・外の時間の合計時間の状況に応じた健康福祉措置等を講じることにより、労働時間、休日、深夜の対象から除外できます。