短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大(平成28年10月~)
平成24年8月22日に公布された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」には、健康保険法・厚生年金保険法の一部改正が含まれています。
今回は、その中でも”短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大”について確認します。
≪適用拡大にあたっての考え方≫
●これまで被用者保険の恩恵を受けられなかった非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正すること
●働かない方が有利になるような仕組みを除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備えること
≪短時間労働者の加入要件≫
①週20時間以上
②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
③勤務期間1年以上
※学生は適用除外
※従業員501人以上の企業が対象(現行の”週30時間以上”という適用基準において適用となる被保険者の数で算出)
※その後3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置が講じられることになります。
≪施行日≫
平成28年10月1日
飲食業や流通業を中心にパートタイマーを雇用する事業主にとっては大きな改正事項になります。
・パートタイマーという雇用形態をそのまま継続させるか…
・適用拡大による人件費への影響はどの程度か…
・これまでの労働条件で社会保険に加入させるのか、それとも労働条件を変更した方がよいのか…
・契約社員は、5年を超えて勤務し、本人が希望すれば無期契約に転換することになる制度(改正労働契約法)も始まる…等々悩みは尽きません。
施行日は4年程先になりますが、パートタイマーを含めた中長期的な人事戦略の見直しが必要になります。
ご参考:厚労省HP「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」