自動車運転死傷処罰法の施行と道路交通法一部改正について
平成26年5月20日に「自動車運転死傷処罰法」が施行され、平成26年6月1日より「改正道路交通法の一部」が施行されました。
業務上、自動車を使用する企業にとっては、改めて車両管理および人事労務管理の方法を見直す必要が出てきています。それぞれポイントを確認しておきましょう。
1.自動車運転死傷処罰法
①概要
「歩行者天国など通行禁止道路の危険な走行」や、アルコールまたは薬物および一定の政令で定める病気の影響により「正常な運転に支障が生じるおれがある状態」での運転による死傷事故にも危険運転致死傷罪が適用されることとなりました。
*懲役15年
②一定の政令で定める病気(自動車の運転に支障が及ぼすおれがある病気)とは
統合失調症、低血糖症、そううつ病、再発性の失神、重度の眠気の症状を示す睡眠障害、 てんかん(意識障害や運動障害をもたらす発作が再発するおそれがあるケースに限定) |
2.改正道路交通法(平成26年6月1日施行)
①概要
安全な運転に支障をおよぼすおそれがある病気にかかっている人などの的確な把握と負担軽減を図るため、運転免許を受けようとする人等に対する質問に関する規定が整備されました。
○公安委員会が免許取得・更新しようとする者に対し、一定の病気等に該当するか判断するための質問票を交付することができます。これを受けた者は、それに答えて、公安委員会に提出しなければなりません。
○医師は診察した者が一定の病気などに該当すると認知し、その者が免許を受けていると知ったときは、診察結果を考案員会に届出ることができます。
○公安委員会は、一定の病気等にかかっていると疑われる者の免許を3か月を超えない範囲内で期間を定めて停止することができます。
②上記改正に伴う通達
業務として自動車を運転する労働者等に対して、健康診断および健康診断後の措置等について次の点に留意すること
○業務上、自動車(大型特殊等を含む)運転に従事する者(業務上、移動手段として自動車を利用する者を含む)等に対しては、労働者の健康・安全の確保のために必要な場合は、雇入れ時又は定期の一般健康診断において、意識を失った、身体の全部又は一部が一時的に思い通り動かせなくなった、活動している最中に眠り込んでしまった等の症状の有無を確認することが望ましいこと。
○健康診断結果および健康診断結果を受けての医師からの意見聴取等により、労働者の健康・安全確保の観点から、必要と認められる場合は、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針に留意し、労働者の意見等も勘案しつつ、適切な事後措置等を講じる等、必要な対策をとること。
○労働者の情報は、極めて機微に触れる情報であることから、情報漏洩などの防止、取扱者の監督等、その取り扱いに十分留意すること
詳細は、こちらをご覧ください。
・警察庁HP:「道路交通法の一部を改正する法律」
・法務省HP:「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案」
・通達:「意識の消失等の症状を有する労働者が業務として自動車を運転する場合等の健康診断等における留意点について」